<状況設定問題>間質性肺炎と呼吸障害 ⑤問題文の整理と解説

国家試験対策

こんにちは yu-riです。

本日は「間質性肺炎と呼吸障害」の最終回です。

問題はこちら

呼吸不全と呼吸ガス

換気障害

間質性肺炎

これまでまとめてきた知識を整理し

根拠を持って回答できるようになりましょう!

黄色が疾患

が異常高値

が異常低値

が異常所見

です。

それでは参りましょう!!

問題文の整理

間質性肺炎に関して

今回の問題の肝となるのは

間質性肺炎という疾患です。

詳しくはこちらでまとめています。

肺胞と肺胞の間にある組織「間質」に炎症が起きる病気です。

通常であればこの間質が伸び縮みすることによって

肺胞が風船のように膨らみ

空気を取り込み・放出していますが

炎症が起こることによって間質が硬くなり

うまく伸び縮みしなくなってしまいます。

つまり空気の取り込み・放出がうまくできず

呼吸困難を引き起こします。

間質が硬くなることで肺胞がうまく膨らまず

吸気時に「パチパチ」という音がします。

これを捻髪音と言います。

この辺りも問題文と合うので、

やはりこの問題の主となるのは間質性肺炎となります。

原因ははっきりしないことが多いですが

今回の問題であるAさんの場合は特発性肺線維症という疾患が

原因で間質性肺炎を起こしているようです。

治療法も確立しておらず

呼吸困難に対する対症療法と

感染症よる急性増悪を避けるための感染予防が大切になります。

Aさんは1週間前から感冒症状︎(かぜ症状)があり

呼吸困難と咳嗽が増悪という点から、

なんらかの感染症に罹患し、急性増悪を起こしていると考えられます。

バイタルサインについて

問題に記載されているバイタルサインは全て異常値です。

呼吸困難と呼吸不全

注目すべきは、SpO2と呼吸数です。

本人の呼吸困難という主訴に対し

SpO2の低下・呼吸数の増加という客観的情報からも

呼吸困難感が強く

実際に呼吸不全に陥っているのではないかと考えられます。

ちなみにですが

呼吸困難と呼吸不全は何が異なるかご存知ですか?

なんとなくニュアンスでわかるかもしれませんが

  • 呼吸困難➡︎主観的な主訴
  • 呼吸不全➡︎客観的データ

です。

患者さんが「苦しい」と訴えることは呼吸困難ですが

SpO2の低下や血液ガスの異常などで、呼吸がうまくできていないと判断することができることを呼吸不全と言います。

なので

呼吸困難を訴えている患者さんに対して

実際に呼吸不全が起こっているのかを検査所見し

治療介入を行っていくかを判断することが必要になります。

敗血症の可能性

もう一つ注目して欲しいのが

敗血症の有無に関してです。

敗血症とは感染が全身に広がってしまった状態のことを言います。

敗血症性ショックを引き起こし

急変する可能性が高くなるため

可能性の早期発見、早期治療が必要になります。

なのでなんらかの感染が疑われる患者さんに対して

敗血症の可能性を一緒に考えていくことが重要です。

敗血症の可能性を考える上では

q SOFAという指標がとても便利です。

本当はSOFAというかなりしっかりといろんな項目が入っている

診断指標があるのですが

簡便ではなく使いづらいので

私たちが知っておくべきは

これを簡単にまとめたq SOFAになります。

qはquick(クイック・すばやく)という意味です。

なので敗血症の可能性を考えるだけで

診断ではありません

その点は注意しましょう。

今回の問題では「A:意識の変容」に関する記載はありません。

呼吸数は30回と増加していますが

血圧は保たれており

現状では敗血症に至っている可能性は比較的低いと考えられます。

ただし、感染を起こしていることは間違い無いので

その後敗血症に移行しないかを

バイタルサインを測る際など

常にアンテナを張っておく必要はありますね。

炎症反応について

今回のAさんのデータでは

白血球(正常値:3500〜9000/μL)と

CRP正常値:0〜0.3)が炎症反応に関する値です。

Aさんはいずれも高値であり

炎症、つまり感染が起こっていると考えられます。

特にCRPが高値と言えます。

ちょっとした風邪であれば一桁前半なので

13.2もあるのは結構強い炎症と言えます。

先ほど少し触れたSOFAには炎症反応の項目はありませんが

炎症が強ければ敗血症に移行する可能性も高くなるので

やはり入院後注意して観察を行っていく必要があります。

栄養状態について

患者さんの背景を捉えるために

栄養状態についてもデータを見ていきましょう。

  • BMI(正常値:18.5〜24)
  • 総蛋白(TP 正常値:6.1〜8.1)
  • アルブミン(Alb 正常値:4.1〜5.1)

Aさんは痩せ型であると考えられます。

また血液データから言えば

低栄養状態であると言えます。

食事の摂取状況などについては記載がないため

詳しいことが分かりませんが

現実の患者さんであれば

食習慣や消化器系のフィジカルアセスメント

必要に応じて栄養指導を行うなどの看護介入が必要となります。

最近では栄養状態に関する介入が広まりつつあり

入院時のNST(栄養サポートチーム)の介入や

看護師によるSGA(主観的包括的評価)を行うことが一般的になってきています。

栄養状態が不良だと

体力低下や、治癒能力の低下、脆弱性を引き起こします。

問題文で詳しく触れられていないので

これは憶測になってしまいますが

元々痩せ型・低栄養から易感染状態であったことが考えられます。

間質性肺炎の患者さんにとって

感染症にかかることは急性増悪の可能性があり

非常に危険です。

マスク・手洗いなどの感染予防はもちろんですが

栄養状態の改善など体の防御機能を高めることも

感染予防の一つです。

Aさんにはその辺りの介入も必要ではないかと考えます。

また、Aさんには糖尿病の既往があります。

低栄養状態と糖尿病の既往から

褥瘡などの皮膚トラブルを起こしやすかったり

組織の修復力が弱い可能性があります。

AさんのADLについては触れられていませんが

仮に体動困難である場合には

体位交換や清潔ケアなどをしっかり行っていく必要性も考えられますね。

血液ガス分析について

血液ガス分析については

詳しくまとめていますので

そちらも合わせて見ていただければと思います。

詳しくはこちら

  • pH(正常値:7.35〜7.45)
  • 動脈血二酸化炭素分圧︎(PaCO2 正常値:35~45Torr)
  • 動脈血酸素分圧(PaO2 正常値:80~100Torr)

正常値と見比べるとpHはギリギリ正常

やや酸性に傾きつつありますが

アシドーシスとはまだ言い難い状況です。

PaCO2正常

PaO2異常

この2つが表すのは呼吸不全の有無と種類でした。

PaO2だけに異常があるので

今回は1型呼吸不全であることがわかります。

問題文にも「呼気は問題ないが、吸気時に深く息が吸えない」とあり

ここからもCO2は排出できるけど

O2の取り込みがうまくできないということがわかります。

基本的にはⅡ型呼吸不全の方が重症です。

レントゲン・CTについて

レントゲン・CTでは

下肺野を中心に輪状影、網状影、淡い陰影ありとされています。

画像は問題文になかったので

はっきりはわかりませんが

とにかく下肺野に白くもやもやしたものが映っているということです。

CTは撮影条件にもよってしまいますが

レントゲンに限って言えば

空気は黒く

物質は白く写ります。

基本的に肺は空気が入っているので黒っぽく写りますが

炎症が起こっていてると白いモヤとして写ります。

つまり、間質性肺炎として白いもやもやが写っていると考えられますね

問題の解説

長くなってしまいましたが

問題文の解説が終わりました。

あとはここまでの知識を使って

問題の解説に入っていきましょう。

【問1】の解説

問題文をしっかり読み解くことができていれば

特に難しくなく解くことができたと思います。

ただ、血液データに関連する選択肢は

データを読む力がないと少し難しく感じますよね。

やっていくうちに少しずつ覚えていけばいいので

一緒に覚えていきましょう。

1の選択肢で迷った方もいるかもしれませんね。

間質性肺炎、特発性肺線維症の急性増悪は

基本的に下肺野に起こります。

気道への症状は出ません。

また、先行する感冒により肺炎が生じていたとしても

菌やウイルスを排菌するために

膿性の分泌物が出ますので

いずれにせよ「水溶性」というのが間違いになります。

【問2】の解説

問題に出ているこの図は頻出ですので

覚えなくてもいいですが理解しておきましょう。

1秒率とは「息を吐くことができるか」

%肺活量は「どれだけ吸うことができるか」

をそれぞれ表しています。

100点満点中何点かと考えるとわかりやすいと思います。

問題文に

吐くことはできるが、吸うことができないと書いてあります。

吐くことはできる→図の上側

吸うことができない→図の左側

と考えると、答えはAの部分になります。

図を理解し、読み解けるようになっておきましょう!

【問3】の解説

これは予備知識がなくても想像すれば解けてしまいそうですね。

考えるポイントは横隔膜の動きを妨げていないかです。

間質性肺炎では

間質が硬くなり肺胞が膨らまなくなってしまうんでしたね。

そこで、乾漆の動きを補うために

横隔膜で肺の膨張を助け呼吸困難感を軽減させます。

腹式呼吸はまさにその代表的な方法になります。

そのほかの選択肢は

水圧や物理的な圧迫により

横隔膜の動きが制限されるため不正解となります。

あとは自分で実際にやってみるとイメージがつきやすくなります。

お風呂に肩まで入った時とそうでない時

体をギュッと丸めた時とそうでない時

仰臥位と座位など

ぜひ比べてみてくさい。

健康だと少しわかりづらいとは思いますが

なんとなくは感じられると思います。

いかがだったでしょうか。

かなり長くなってしまいましたが

これでこの問題の解説は全て終了となります。

知識の整理をしっかり行なって

試験はもちろん

臨床に出てからも使えるように身につけていきましょう!!

次回からはまた新しい問題に一緒に取り組んでいきたいと思います。

お疲れ様でした!

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