こんにちは yu-riです。
本日は「間質性肺炎と呼吸障害」の第3回目です。
問題はこちら
前回は呼吸不全とは何か、
呼吸不全を発見するための血液ガスの見方を一緒に勉強しました。
今回は呼吸不全の原因となる換気障害について勉強していきましょう!
換気とは何か
換気障害とは何か問われた時サラッと答えられますか?
なんとなくわかるけど、はっきり言葉にするのは
少し難しいですよね。
換気=呼吸と考えがちですが
一般的にはそうでも
私たちはもう少し深掘りしなければいけません。
「呼吸」は大きく3段階に分けて考えられます。
- 換気
- 拡散
- 肺循環
です。
換気
換気とは
呼吸運動によって
口から取り込まれた空気を肺・肺胞に運び
また、逆に肺胞気を口から外に放出することです。
一般的に考える呼吸に一番近いですね。
唯一自分である程度コントロールができる部分です。
本日は後ほど、ここについて詳しくみていきます。
拡散
肺胞まで取り込まれは空気を
ガスの分圧差を用いて血中内に取り込み、
また逆に肺胞内に血液中から取り込むことです。
分圧差というとわかりにくいので濃度や数で考えるとイメージが湧きやすいかと思います。
空気と静脈血であれば
- 酸素が多い(濃度が高い・分圧が大きい)のは空気➡︎少ない方(血液中)に移動
- 二酸化炭素が多い(濃度が高い・分圧が大きい)のは静脈血➡︎少ない方(肺胞・空気)に移動
こんな感じです。
この移動のことを拡散と言います。
肺循環
心臓と肺の間で血液が巡り
静脈血を動脈血にする循環のことです。
心臓と全身との循環は体循環と言います。
心臓をベースに
「肺」と「体」どちらとやりとりしているかで名前がつけられています。
換気機能検査︎(スパイロメトリー)
本日は換気について
つまり空気の取り入れと排出だけに注目していきます。
なぜここに注目するのかというと
意外とよく試験で出るからです。
でも理解してしまえば全然難しくないので
一緒に頑張りましょう!
まずは換気障害を理解するために換気機能検査についてまとめていきましょう。
換気機能検査はスパイロメトリーという検査で行います。
方法は問われることがないですが
鼻をつまんで息が漏れないようにし
口で機械を咥え呼吸・深呼吸してもらいます。
その時の呼気量・吸気量を測定してくれる機械です。

この図の赤い線がその検査の結果を表すものになります。
小さい波が普通の呼吸
大きい波が深呼吸したものです。
そのほかに書いてある単語について
一つずつ意味を確認していきましょう。
肺活量
日常生活でもよく聞きなれた単語ですよね。
実際に自分の意思で活躍させることのできる空気量のことです。
吸気では最大限吸うことができますが
どんなに限界まで息を吐いたとしても
肺がぺちゃんこになることはなく
肺の中には絶対に空気がある程度残ってしまいます。
その残ってしまう部分のことを<残気量>と言います。
また、肺気量と残気量を合計した
肺の容量のことを<全肺気量>と言います。
一回換気量
深呼吸ではなく
意識せずに普通に呼吸している時の出入りする空気量です。
でも呼吸って自分の意思で大きく吸ったり吐いたりができますよね。
その余裕のことを<予備吸気量>、<予備呼気量>と言います。
意識せずに吸う量(一回換気量)と
意識すれば吸える量(予備吸気量)を合わせて<最大級気量>、
意識すれば吐ける量(予備呼気量)と
どうしても肺に残ってしまう量(残気量)を合わせて<機能的残気量>と言います。
図を見てもらうと残気量の欄にはグラフがないですよね。
ここからわかるように
スパイロメトリーでは残気量を測ることができません。
これに関してはガス気釈法という別の方法で測る必要がありますが
そもそも測る必要性があんまりないので覚えなくて大丈夫です。
活用方法
言葉の整理をしたところで
これをどのように活用するのかを見ていきましょう。
見ていくポイントは
- 予測肺活量
- %肺活量
- 1秒率
です。
一つづつ見ていきますが
説明の過程で計算式がいくつか出てきます。
しかし、安心してください。
看護師としてこれらの計算をする日はほぼ100%やってきません。
国家試験にももちろん出ません。
ただ、こういうふうにやっているんだよと知ることが
疾患の理解につながっていくのでお話ししていきます。
予測肺活量
これは文字通り、計算によって求められる
「この人ならこれくらいの肺活量があるんじゃないかな・・・」という
肺活量の予想量のことです。
ちなみに覚えなくていいですが
男性:(27.63-0.112×年齢)×身長cm
女性:(27.78-0.101×年齢)×身長cm だそうです。
めっちゃめんどくさそうですが
先ほども話したように
これを計算する日は100%来ないので安心してください。
%肺活量
算出された予測肺活量と
スパイロメトリーによって実際に測られた肺活量の割合のことを%肺活量と言います。
実働割合と思ってください。
例えば
予測換気量が500mL の人が
スパイロメトリーで肺気量450mLだった場合、
450/500×100=90となり
この人の%肺活量は90%となります。
正常値は80%以上なので
この人は十分に正常範囲内です。
1秒率
これまでのスパイロメトリー、排気量は特にスピードに関しては注目されませんでした。
しかし「1秒」と名前がついていることから
ここからは速さに注目していきます。
この値を出すためには
患者さんに思いっきり全力で一気に吐いてもらう必要があります。
できるだけ早く、全部を吐くようなイメージです。
早く吐こうと努力するので努力性肺気量と言います。
また、それをしてもらった時の
最初の1秒間で吐いた量のことを1秒量と言います。
この1秒量が努力性肺気量に占める割合を1秒率と言います。
最初の1秒間でどれだけ多く吐くことができるかを表したものです。
例えば
努力性肺気量が500mL の人の
最初の1秒で吐いた量(1秒量)が400mL だった場合
400/500×100=80
つまり80%となります。
正常値は70%以上なので、この人は正常値ないであると判断できます。
さて、これで単語の整理は終わりです。
何やら難しい言葉が並んでいましたが
意外と文字通りの意味が多くて
なんとなく知っておけば十分対応可能ですよね。
完璧に覚える必要はないので
頭の中を整理だけしておきましょう。
換気障害の分類
さて、ここからがいよいよ本番です。
なぜここまでいろんなことをまとめてきたかの集大成です。
ここまでまとめてきた
- %肺活量(しっかり吸えるかどうか)
- 1秒率(しっかり吐けるかどうか)
をさらに表にまとめて
そこから疾患を分類することができます。

これみたことある人も多いのではないでしょうか。
なんなら今回の問題にも出てきましたよね。
よく見かける図になりますので
理解しておきましょう。
先ほどもまとめたように
肺活量が80%以上、1秒率が70%以上であれば正常です。
それ以外は異常と判断されますが
異常は異常でも種類があります。
- %肺活量は正常で、1秒率が異常な時➡︎閉塞性換気障害
- %肺活量が異常で、1秒率は正常な時➡︎拘束性換気障害
- 両方とも異常な時➡︎混合性換気障害
言葉だとわかりにくいので
図で見るといいと思います。
縦軸が1秒率、横軸が%肺活量です。
1秒率が70より低ければ緑と黄色の枠
%肺活量が80より低ければ赤と緑の枠です。
それぞれについて
もう少し詳しくみていきましょう
閉塞性換気障害
%肺活量が正常で、1秒率が異常
つまり「吸えるけど、吐けない」という状態です。
炎症などにより気道が閉塞することが原因のため
閉塞性障害と言います。
気管支喘息やCOPD(肺気腫、慢性気管支炎)などが代表的な疾患です。
拘束性換気障害
%肺活量が異常で、1秒率が正常
つまり「吸えないけど、吐くことはできる」という状態です。
なぜ吸えないかとうと肺が広がらないからです。
肺が硬くなり拘束されたようなので拘束性と言います。
間質性肺炎や肺線維症、肺結核の後遺症などが挙げられます。
混合性換気障害
%肺活量も1秒率も、両方ともに異常があるのが混合性です。
吸うのも吐くのも障害されているという辛い状態です。
加齢などによる変化や
様々な疾患の複合により起こります。
いかがだったでしょうか。
今日は換気とは何か
そしてその換気に異常が起こった時の検査・分類についてまとめてきました。
単語が多く出てきたので少し混乱してしまったという方は
- %肺活量(しっかり吸えるかどうか)
- 1秒率(しっかり吐けるかどうか)
この二つだけは押さえておいてください。
次回はこの問題の主役である
間質性肺炎につてまとめていきます。
お疲れ様でした!
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