<状況設定問題>熱中症と腎不全 ④知識の整理:腎不全編

国家試験対策

こんにちは yu-riです。

本日は「熱中症と腎不全」の第4回目です。

問題はこちら

知識の整理:体温調節機能はこちら

      熱中症に関してはこちら

今回は腎不全に関してです。

今回の問題はもちろんですが

入院患者さんでは腎不全を抱えている患者さんも多くいます。

疾患に関する理解が深まれば

臨床現場でも役立つ知識ですので

一緒に整理していきましょう!

腎臓の働き

腎不全とは

腎臓がちゃんと働かなくなることですが

それを理解するには

そもそも腎臓がどんなものか働きをしているのかを知る必要があります。

まずは腎臓の正常な働きについてみていきましょう!

腎臓が尿を作るところであることは

有名ですが

私たちはもう一歩踏み込んで

なぜ尿を作るのかということを考えていきましょう。

答えは図にもある通りですが

大きく3つあります。

  • 体内の老廃物の排出
  • 水・電解質の調節
  • 酸塩基平行の維持

です。

どの理由も

体にいらないもの・毒になるものは体外へ排出する

というのが基本的な考えになります。

逆に尿が出ないということは体内に悪いものが溜まり続けるということになりますよね。

考えるだけで恐ろしいですが

これが起こってしまうのが腎不全です。

ではさっそくこのヤバそうな腎不全についてまとめていきましょう!

腎不全の原因

腎不全とは先ほども少し触れたように

腎臓の機能が悪くなり

うまく働かなくなってしまう状態のことです。

尿が少なくなったり

採血でBUN、Cre、eGFRという値に異常がある時に腎不全を考えます。

採血の数値では他にも見るところはあるのですが

試験でよく出てきて

かつ臨床でも必ず押さえて欲しいのはこの3つですので

うっすら頭に入れておいてください。

腎不全の原因は大きく3つに分けられます。

どこに問題が起こっているかが原因を考える上で重要です。

腎臓を真ん中にして

腎臓より前に問題があれば腎前性

腎臓そのものに問題があれば腎性

腎臓より後に問題があれば腎後性と名前がついています。

腎前性

循環に問題があって

腎臓に血液が十分送り込まれない状態です。

尿は血液を腎臓で濾すことで作られるので

血液が送られなければ尿を作ることはできません。

心不全や脱水などが原因になります。

腎性

腎臓そのものに問題があるパターンです。

糸球体腎炎などの疾患によって

血液をうまく濾過することができず

尿を作ることができなくなってしまいます。

腎後性

腎臓より後に問題が起こるパターンです。

腎臓に血液がしっかり流れてくるし

それを濾過して尿を作ることもできるけど

尿管結石などで尿路が塞がれてしまい

尿を出すことができないという状態です。

腎不全ではこれらの下人を特定することが重要になります。

なぜなら、原因によって出てくる症状や治療が全く異なるためです。

尿量減少・採血結果とともに

出現しているそのほかの症状から

原因を特定し早期に治療につなげていきます。

腎不全の症状

症状は原因と結びつけて整理すると

理解しやすいです。

腎前性

原因が循環の悪さだったことを思い出しましょう。

循環が悪いということは

低血圧、それに伴う頻脈が症状としてあります。

そのほか心不全が原因なら心不全の症状が

心筋梗塞が原因なら共通や心電図異常などが

脱水なら採血で脱水に関する数値の乱れが出てきます。

腎性

腎性腎不全では

体内に十分な量の血液量があり

腎臓に流れ込んでくる血液量ももちろん十分です。

なのに腎臓の病気のせいで尿が作られず

余分な水分が体外に排出されないとなると

体の中に水分が過剰な状態になります。

なので血液が多いために高血圧になったり

うっ血性心不全を引き起こされます。

また血管内に水分が収まりきれなくなれば

肺水腫や浮腫が出てきます。

腎後性

腎後性の原因は

せっかく作られた尿が尿路の異常で排出されないことでした。

排出されない尿は出口を失い

尿路を逆走して腎臓に戻ってきてしまいます。

そうすると

腎臓に尿を留めておくことはできないので

水腎症となります。

場合によって逆流してきた尿から感染症が起こり

腎盂腎炎などを起こすこともあります。

腎臓は血流の多い臓器です。

ここに感染が起こると

細菌が血流にのって全身に運ばれ、敗血症に至ることもあるちょっと怖い病態です。

尿が出ているか?その量は?性状は?などの日常の観察が

腎不全、その前段階の原因疾患の発見に役立ってきます。

数秒で終わるちょっとした観察ですが

なんのために観察をするのかその意義を

しっかり自分の中で整理しておきましょう。

腎不全の治療

最後に治療についてみていきますが

ここまで言ってきたように

原因により治療法が大きく異なります。

原因を意識して一緒に確認していきましょう。

腎前性

循環の異常を補正するのが治療になります。

心不全や心筋梗塞などでは心臓のポンプ機能を良くする治療を

脱水や大量出血などでは補液を行って循環血液量を保つような治療を行います。

ここで大切なのが

補液のための点滴の種類の選択です。

選択・決定するのはもちろん医師ですが

なぜその点滴を選ぶのか

本当にその点滴で患者さんに悪影響がないかは

私たちも一緒に考えなくてはいけません。

点滴を選らず際にはK(カリウム)が含まれているかどうかを確認する必要があります。

KはNaと同様に体内のバランスを保つ役割を持つ電解質です。

少なすぎても多すぎても体に悪影響があります。

今日の一番最初に触れたように

腎臓の働きとして「電解質の調整」というのもあります。

過剰な分を尿で排出することで

電解質を正常な濃度に保っていますが

尿が排出されないことでKが過剰に体内に蓄積されていくことになります。

高K血症は心停止をもたらす非常に危険なものです。

採血結果と照らし合わせ

必要に応じてKの入っていない点滴をチョイスします。

採血でKの値が高いのに

医師がKの入っている点滴をオーダーしてきた場合にはしっかり確認しましょうね。

最悪の場合

患者さんの死につながります。

Kが高値である時には

必要に応じて緊急透析を行うこともあります。

採血の値を確認し

モニター観察の必要性の有無や

立てーてる挿入の準備、透析室との連携など行っていくなど

次の一手につなげていきましょう。

腎性

疾患そのものの治療が主な治療になります。

国家試験で出題される部分としては食事療法が挙げられます。

食事療法のポイントは

  • 塩分制限
  • 低タンパク質
  • 高エネルギー

です。

「腎臓病 レシピ」などで検索すると

たくさんレシピが出てきます。

食事療法の指導などにも役立ちますので

ぜひ検索してみてくださいね。

試しに作って味を確認してみるのもいいかもしれません。

腎後性

腎後性腎不全では

尿の流れる道を確保してあげるのが治療になります。

尿道カテーテルを挿入したり

尿管ステントの手術を行ったりです。

腎盂腎炎などにまで至ってしまっている場合には

その治療を行っていきます。

いかがだったでしょうか?

本日は腎不全についてまとめてきました。

腎前性・腎性・腎後性に分類し

それぞれの原因・症状・治療を関連づけて理解していきましょう。

次回はいよいよ問題文の整理に移っていきます。

お疲れ様でした!

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