こんにちは yu-riです。
本日は「熱中症と腎不全」の第3回目です。
前回の体温調節機能の確認に引き続き
問題を解くための熱中症に関する知識を
一緒に整理していきましょう!
熱中症の原因
熱中症とは
名前のまんまですが
暑い環境の中にいたことにより生じる健康障害のことです。
通常であれば暑い環境にいたとしても
前回まとめた体温調節機能によって
体が熱くなりすぎないように体温調節を行いますが
この調節が間に合わないほど体温が高くなってしまい
体内のバランスが崩れることによって
さまざまな症状が引き起こされ熱中症となります。
簡単に言えばオーバーヒートですね。
昔のスマホとか
使ってると熱くなって
勝手に電源落ちたりしましたよね。
あんな感じのことが人体で起こります。
簡単に「暑いところ」と一言でまとめてしまいましたが
もう少し詳しく原因を見ていきましょう。

熱中症の原因は
外の気温など環境要因だけではなく
暑さに耐えうるかどうかの身体的要因や
よりオーバーヒートしやすくなる行動要因などが絡み合っています。
高齢者では
元々体内の水分量が少なく
さらに口渇や暑さを感じにくいこと
またエアコンが嫌いという方も少なくなく
熱中症になりやすい傾向にあります。
体温調節機能と関連させて
せっかく発汗することができても
周りの温度・湿度が高くて
うまく熱を逃すことができないなどの原因も考えられますね。
前回まとめた体温調節機能と
上記の図を関連させておくと
熱中症になりやすい人・原因が理解できます。
熱中症の症状
次に熱中症の症状を見ていきましょう。
熱中症の症状は
その重症度に応じて3段階に分けられます。

- 現場での応急処置で対応可能なⅠ度(熱けいれん、熱失神)
- 医療機関への受診が必要なⅡ度(熱疲労)
- 絶対に受診が必要・場合によって救急要請が必要なⅢ度(熱射病)
です。
具体的な症状は図にある通りです。
各レベルでの大まかな症状は知っておくといいですが
「この症状はどのレベルでしょう」という問題は出ないので
大まかで大丈夫です。
大事なのは
なぜ上記の症状が出るのかという部分です。
ズバリ全ての症状の基本にあるのは
発汗による脱水と電解質(特にNa)の喪失です。
具体的にその機序を見ていきましょう。
脱水➡︎脳への虚血➡︎めまい・立ちくらみ・生あくび・意識障害など
発汗により脱水が起こると、循環血液量が減少します。
通常、循環血液量が少なくなると
血管を引き締めて(血管抵抗を上げて)、血圧を保とうとしますが
熱中症では体温を放出するために血管を拡張します。
すると血圧が低くなり
特に血液を運ぶのに圧力が必要な脳には
血液循環量が減少し、虚血状態となります。
この虚血が
軽度であればめまい感や立ちくらみ、生あくびで済みますが
重症になれば意識障害をきたします。
より重症になれば
脳だけでなく体全体が虚血状態となり
かく臓器が虚血状態となり、臓器不全つまり腎機能障害や肝機能障害が出ることになります。
電解質の喪失➡︎筋肉・神経の異常➡︎筋肉痛・こむら返り・意識障害・痙攣など
発汗と一言で言っても
失われるのは水分だけではありません。
汗ってしょっぱいですよね。
しょっぱい理由はNaなどの電解質も一緒に排出されているからです。
通常私たちの体は
細胞内と細胞外のNaなど電解質のバランスで
筋肉を動かしたり神経の働きを保ったりしています。
なのでNaのバランスが崩れると
筋肉・神経の動きのバランスも崩れるというわけです。
筋肉・神経のバランスが崩れるという具体的な現象が
軽度であれば筋肉痛やこむら返り(筋肉のつり)
重症であれば意識障害や痙攣となるわけです。
なんでその症状が出るかの理由を理解すると
治療や看護ケアにつながるので
しっかり整理しておきましょう。
熱中症の治療
最後は熱中症の治療についてまとめていきましょう。

重症度によって
より高度な治療が必要になってはいきますが
基本となるのは冷却と補液です。
冷却は
軽症であれば体表面から氷枕などで冷やしてあげますが
重症で緊急に体温を下げたい場合には
冷やした点滴を入れたり(血管内冷却)
胃に冷水を流し込んだり(体内冷却)します。
補液に関しては
自分で飲水できる状況であれば
OS1など、水分と電解質が入っているものを飲んでもらいます。
吐き気が強かったり、意識障害があって
自力での飲水が難しいようであれば
点滴で体内に水分と電解質を入れていきます。
脱水が強く循環動態が不安定である場合には
さらに高度な全身管理を行う必要があります。
意識障害が強い場合には呼吸器管理したり
臓器不全で腎希望が悪い場合には透析を行うこともあります。
重症度と出現している症状に合わせて治療を行っていきましょう。
本日は熱中症についてまとめてきました。
熱中症は毎年夏になるとCMでも流れるほど身近な疾患ですが
その分類や病態生理を知っておくことで
緊急性の判断や治療に生かすことができます。
国家試験対策だけでなく
自分の生活にも役立つ知識だと思いますので
ぜひ何度も復讐して
理解を深めていってくださいね!
ちょっと小話
もうだいぶ秋の気候になってきましたね。
今年は熱中症で搬送されてくる患者さんが
非常に少なかったように感じます。
そもそも暑い日が少なかったのと
コロナによって出かける人が少なかったためでしょうかね?
一方で
コロナなどによる発熱か
熱中症による発熱か判断がつかず
常に気を張っている夏でもありました。
原因がわからない以上
防護服なしというわけにもいかず
医療者側としては
非常に暑い夏でした。
感染者数が少しずつ減少傾向にありますが
気を抜かず頑張っていきましょう。
次回は知識の整理の続きで、腎不全について一緒に勉強していきましょう。
お疲れ様でした!!
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