<必修>循環器系① 心臓の解剖・循環

国家試験対策

こんにちは yu-riです。

本日は循環器系についてまとめていきたいと思います。

循環器系は様々な病態を理解するのにとても重要な分野になります。

今後勉強を進めていくうえで

基本中の基本となる部分です。

しっかり復習していきましょう。

心臓の解剖

循環器とは

栄養素・酸素などを各器官に運び

各器官から出た老廃物を集めて運ぶ器官のことです。

これを行っているのは

ポンプ役の心臓

運搬路の血管・リンパ管になります。

まずはこれがなきゃ始まらない

心臓からまとめていきましょう。

まずは解剖を見ていきましょう。

心臓は胸骨と第2~6肋間の背面に位置し

成人では約250~300mL、握りこぶし大の大きさです。

前回の運動系でもやったように

心臓は心筋という筋肉で主にできています。

 

心臓は右心房・右心室・左心房・左心室という

4つの部屋にわかれ

それぞれの部屋の出口には

三尖弁・肺動脈弁・僧帽弁・大動脈弁という弁があり

血液が逆流、つまり後戻りできないように作られています。

「循環」器というくらいなので

血液は体内を一方向にぐるぐる循環しています。

逆流しているとなるとそれは異常事態、病気なわけです。

そこはまたおいおいやっていきましょう。

肺循環と体循環

循環には肺循環体循環の二つの経路があります。

どのように心臓を血流が回っていくのかを見ていきましょう。

まず全身の静脈血は上大静脈または下大静脈から

右心房に入ってきます。

三尖弁をとおり右心室へ。

右心室がギュッと収縮すると肺動脈弁を通って肺動脈へ。

そして肺へ流れ込みます。

肺へ流れ込むと血液の酸素化が行われ動脈血となり

肺静脈を通って左心房へ。

僧帽弁を通って左心室へ流れ込み

またギュッと押し出される形で大動脈弁を通って

大動脈、さらには全身の動脈へと流れていきます。

各器官・組織に酸素を運搬し静脈血となり

再び心臓に戻ってくる。

このような経路をたどります。

このうち

心臓ー肺ー心臓のやり取りを肺循環

心臓ー全身ー心臓のやり取りを体循環といいます。

 

必修で問われるのは全身に血液を送り出すのはどこかという部分です。

答えはもうお分かりですよね。

左心室、または問題によって大動脈となります。

 

もう一つはどこの血液が一番酸素濃度が高いかという問題です。

これも簡単ですね。

酸素化をしているのは肺です。

酸素化してできるだけすぐの血液が

一番酸素濃度が高いに決まっています。

つまり答えは肺静脈となります。

 

ここで「え?静脈なのに酸素濃度が高いの?」って混乱した人。

少し脱線して整理していきましょう。

動脈のほうが酸素濃度が高い、だから赤いというイメージがありますよね。

それはおおむね間違ってはいませんが

解剖学的な意味を知らなければその解釈は危険です。

動脈は「心臓から遠ざかる」とイメージしましょう。

そうすると

・心臓から送り出されて間もないから拍動がある

・酸素化されて間もないから酸素濃度が高い

・酸素濃度が高いから鮮紅色

・心臓から送り出されて間もないから血圧がある、血管壁が分厚い

など関連してイメージすることができます。

 

静脈も同様に関連づけることが可能です。

静脈は「心臓に近づいていく」イメージです。

・各組織に行った後だから酸素濃度が低い

・酸素濃度が低いから暗赤色

・心臓からかなり遠いから拍動なし

・拍動・勢いがないから逆流しやすい→静脈弁で逆流防止

こんな感じです。

 

では改めて先ほどの一番酸素濃度の高い血液がどこかという問題に戻りましょう。

酸素化されたばかり、

つまり肺から出てきたばかりの血液が一番酸素濃度が高いに決まっています。

肺から出て心臓に近づいていく血管「肺静脈」が答えですね。

整理できましたか?

 

心臓の簡単な解剖ですが

ここをわかっていないと後々困ることが多いです。

簡単だからとないがしろにせず

自分で簡易的な図を描いてみたり

言葉の意味をしっかり整理しておきましょう。

胎児・新生児の循環

心臓の解剖と循環器の基本を抑えたところで

特殊な血液循環について触れていきましょう。

タイトルにもある通り

胎児・新生児の血液循環についてです。

ポイントは

  • 臍動脈・臍静脈
  • 卵円孔
  • 動脈管(ボタロー管) の3つです。

まず胎児に関してみていきましょう。

胎児とはお母さんのおなかの中にいる状態の赤ちゃんのことですよね。

おなかの中にいるということは周りは羊水に囲まれているわけですから

息を吸ったり吐いたりで酸素を取り込めるわけではありません。

かといって酸素なしで生きることはできません。

ではどのようにして胎児が酸素を取り込んでいるかというと

へその緒を使って

お母さんから酸素をもらっているんですよね。

へその緒とはお母さんと赤ちゃんを結ぶもので

へその緒の中には

2本の臍動脈と1本の臍静脈があります。

では先ほどの復習です。

酸素濃度が高いのはどちらでしょうか。

 

すみません。

これは少し意地悪な問題でしたね。

ヒントは赤ちゃんから見てどうかです。

 

答えは「臍静脈」です。

赤ちゃんのおへそにつながっているわけですから

(赤ちゃんの)臍にある、心臓に近づいていく血管(静脈)と考えましょう。

 

ここまでOKですか?

ここがポイントになります。

一般的に考えて静脈は酸素濃度が低いのに

胎児に関していえば

臍静脈が合流する静脈には酸素が豊富なわけです。

臍静脈は下大静脈を通って心臓、右心房に注ぎ込むことになります。

普段なら右心房には静脈血が注がれ

酸素化をするために右心室、肺へと流れるわけですが

胎児では動脈血が流れ込んできます。

「じゃあ酸素化必要ないから、左心房にショートカットしちゃえ!」

ということで卵円孔という穴を通り左心房に流れていきます。

そのあとは基本通り

左心室→大動脈→全身の流れです。

 

ただし上大静脈には脳からの静脈血が流れ込むため

右心房で動脈血と静脈血が混合されることになります。

血液の流れ上

比較的酸素濃度の低い血液が右心室に流れ込むことになります。

しかし先述したように肺での酸素化はできないため

そのままの酸素濃度で全身に流れていくことになります。

肺に血液を送っても酸素消費をされるだけになってしまうので

肺に送る血液は最低限です。

「え、でも肺を通って左心房に流れ込まないと大動脈にたどり着けないじゃん」

と思った方。

今日の前半戦の勉強はばっちりです。

胎児にはこの問題を解決するために

動脈管という血管があるのです。

右心室から肺動脈に行くと見せかけて

途中でなんと大動脈にショートカットする血管です。

この欠陥があることにより

右心室からの血液は無事大動脈に合流し

全身に回っていくという仕組みです。

いやぁ、人体ってうまくできてますよね。

全身を回った血液は臍動脈を通り

お母さんへと帰っていきます。

 

一見複雑そうですが

ポイントは

  • 臍静脈から動脈血が流入
  • 肺が機能していないのでお母さんからもらった動脈血をいかにショートカットして全身に運ぶか
  • ショートカットのすべが卵円孔と動脈管(ボタロー管)

です。

 

続いて新生児に関してですが

こちらは胎児循環が分かっていれば何の問題もありません。

新生児は字の通り

生まれてすぐの赤ちゃんのことですよね。

おなかの外にいるわけですから

周りには空気があり

肺での酸素化ができるということです。

つまり基本の循環で何ら問題なくなるってことです。

基本の循環でいいってことは

卵円孔と動脈管が必要なくなることを意味しています。

肺呼吸の開始に伴い

卵円孔と動脈管が閉鎖し

肺循環と体循環が確立する。

新生児循環はこれだけです。

 

 

いかがでしたか。

今回は循環器系の基礎の基礎となる部分

心臓の解剖と循環についてまとめました。

「こんなの基本だからわかってるよ~」という方も

基本だからこそ完璧に自分の中で整理しておきましょう。

 

お疲れさまでした!

コメント

タイトルとURLをコピーしました