脱水③ 低張性脱水・等張性脱水

国家試験対策

こんにちは yu-riです。

今回は前回に引き続き

低張性脱水・等張性脱水について学んでいきたいと思います。

脱水の全体像はこちら

高張性脱水についてはこちら

 

 

低張性脱水とは

低張性脱水とはNa欠乏性脱水ともいいます。

 

Naが何らかの原因で過剰に排出され

体内中のNa濃度が低下し

それによって浸透圧が低くなった脱水のことです。

浸透圧が低いことが原因で起こるので

低張性脱水という名前になります。

 

原因

名前の通りNaの喪失が原因ですが

Naがなぜ少なくなってしまったかによって

大きく二つの原因に分けられます。

腎臓によるものか

そうでないものかですね。

 

まず腎性のもの。

腎機能の低下によりNa調節機構がうまく働かず

本来なら再吸収されるNaもバンバン外に出ていってしまい

結果として体内のNaが少なくなってしまうものです。

高張性脱水にも腎臓関係の原因がありましたが

高張性脱水では水分の再吸収がうまくできず

水分を喪失することになります。

どちらも腎臓の障害ではありますが

障害される部分が異なりますので

そこはしっかり理解しておきましょう。

 

次に腎臓以外が原因で起こるものです。

ここで思い出してほしいのが

細胞内外でどちらにNaが多く含まれていたかです。

Naは細胞外に多く含まれているんでしたね。

細胞外の液体には

  • 血液中の血漿
  • 胃液・腸液などの消化液
  • 細胞と細胞の間にある間質液

などがあります。

目で見て「液体だ」と感じるものは細胞外液と考えてもいいですね。

 

Naが多く含まれる細胞外液

つまり上記の体液を失うことによって

Na喪失につながるわけです。

 

では上記の体液を失うのはどういう時でしょうか。

  • 血液中の血漿→出血
  • 消化液→嘔吐、下痢、消化液の吸引・ドレナージ
  • 間質液→発汗、熱傷による浸出液、腹膜炎などによる腹腔内への浸出液(腹水)

などがあげられます。

 

腎性、腎性以外のいずれにしても

水分以上にNaを失うことにより起こるということを

おさえておきましょう。

症状

次に症状をまとめていきましょう。

まとめていく上でのポイントは

浸透圧の変化で起こる

細胞内外の水分量の変化による症状です。

先ほどまとめた原因により

細胞の内外で浸透圧のバランスが崩れ

水分バランスが崩れます。

浸透圧により

  1. 細胞外では水分が減少し
  2. 細胞内では水分が増加する

ことがイラストからわかると思います。

ではそれが起こることにより

どういう症状が具体的に表れるのでしょうか。

 

まず、細胞外で水分が減少したらを考えましょう。

細胞外液が減少

つまり血漿が減少すると

血液はどろどろになります。

ドロドロした血液とサラサラの血液なら

どちらのほうが体をめぐりやすいでしょうか?

 

サラサラな血液のほうが抵抗が少なくて流れやすいことは

想像しやすいと思います。

どろどろの血液は流れにくい

つまり流すのに大きな力が必要です。

流す力を生み出すのは心臓です。

どろどろの血液を流すには

心臓で大きな力が必要になり

心臓に負担がかかることになります。

心臓がその負荷に耐えられなくなった場合

心不全や、各組織への血流が低下してしまい

最悪ショックに至ります。

 

また、血漿が少なくなるということは

血液全体の量も少なくなっているということです。

血液が十分な量がない場合には

血圧の低下を引き落とし

こちらも最悪ショックに至ります。

 

ショックまで至らなかったとしても

各組織への血流量が低下することにより

倦怠感や食欲低下などが引き起こされることになります。

 

次に細胞内で水分が増加したらどうなるかを考えましょう。

細胞内に水分が過剰に取り込まれると

細胞は通常の大きさより

膨れ上がることはイメージできると思います。

この水分を過剰に含んで膨れ上がることを浮腫といいます。

一日たちっぱなしだったりすると

足がパンパンにむくんで辛いなんてことがありますよね。

それをイメージしてください。

 

浮腫が起きると

体積が増えてお互いの細胞・組織を圧迫します。

例えばブーツをはいた状態で足がむくむと

ブーツがパンパンになってしまって

ジッパーを下げるのが一苦労なんてことになりますよね。

 

それが脳で起こったらどうなるでしょうか。

 

脳はもちろん細胞の塊でできています。

なので低張性脱水に陥ると

細胞内に水分が取り込まれて

脳細胞も浮腫を起こします。

どんどん自由に膨れていくスペースがあればまだいいのですが

脳は頭蓋骨に囲まれていて

スペースに限界があります。

限界まで脳浮腫が起こると

脳が圧迫され(脳圧亢進)

脳血管が圧迫されていきます。

血管が圧迫されるということは

血流が少なくなるということです。

脳へ行く血流が少なくなると

痙攣をおこしたり

意識消失・意識障害が出現することになります。

 

低張性脱水(Na欠乏性脱水)は

生命維持の危機につながる

結構怖い脱水です。

採血結果で電解質って注目されにくい部分ですが

すこし意識してみるようにしましょう。

 

治療

低張性脱水に対する治療は電解質の補正です。

Naが少ないことが原因なので

Naを補充してあげればいいという考え方です。

シンプルですね。

 

またNaを補充するだけではなく

Naを喪失する原因にたいする治療も行います。

 

等張性脱水

本日最後は

等張性脱水についてまとめていきます。

 

ただしこの等張性脱水は

前述の高張性脱水・低張性脱水が理解できれば

新たに勉強することはありません。

 

水分の摂取不足や嘔吐・下痢などで

全体的に体液量が少なくなった状態のことを言います。

水分もNaも平等に少なくなっているため

浸透圧の変化は起こっていない、浸透圧が等しい状態の脱水なので

等張性脱水といいます。

水分とNaどちらの喪失がより多いかで

それぞれ高張性脱水・低張性脱水に近い症状が出現します。

 

 

いかがだったでしょうか。

前回・今回で高張性・低張性・等張性脱水それぞれについてまとめてきました。

脱水が起こるメカニズムや症状について

理解することができたでしょうか。

 

次回は

脱水に関する観察項目や看護について触れていきたいと思います。

日々の観察や看護、看護計画に役立つと思いますので

読んでいただけると嬉しいです。

 

お疲れさまでした!

コメント

タイトルとURLをコピーしました