意識障害③

国家試験対策

こんにちは yu-riです。

本日は意識障害の第3回目です。

本日も前回に引き続き臨床寄りの話にはなりますが

国試でも問われる部分がありますので参考にしてみてください

 

意識障害と意識消失

まずは意識障害と意識消失の違いを確認しましょう。

意識障害とは①②で学んだ通り

意識に障害が起こっていること=普段とは様子が異なること

でしたね。

一方、意識消失は「一過性意識消失」とも言い

一時的にに意識を失ったことを言います。

失神とほぼ同義ですね。

意識障害との最大の違いは

意識の回復の有無です。

低血糖の患者をそのまま放っておいても意識が戻ることはありません(そんなこと絶対しちゃだめですよ!!)

しかし意識消失では基本的には自然な経過で意識を取り戻します。

 

意識消失についても簡単にまとめておきましょう。

意識消失の原因は「脳血流量の一時的な低下」です。

では脳血流量を低下させるものとは何でしょうか。

大きく分けると

  • 心臓の疾患によるもの(心原性)
  • 反射性によるもの
  • 起立性低血圧によるもの
  • TIA(一過性脳虚血発作)

の4つがあります。

まず重要なのは心原性によるものです。

これはさらに

  • 不整脈によるもの
  • 器質的疾患(心臓の形など)
  • その他

に分類されます。

不整脈によるものはさらに

徐脈性(脈が遅すぎて、血圧が保てない)のものと

頻脈性(脈が速すぎて、十分な量の血液を循環させられない)ものがあります。

これらは12誘導心電図で診断が簡単に行えます。

意識消失の患者には必ず心電図の検査を行うようにしましょう。

 

器質的疾患とは

大動脈弁狭窄症(弁の狭窄により、十分な量の血液を送り出せない)や

心タンポナーデ・閉塞性肥大型心筋症(心室の拡張が十分にできず、血液を送り出せない)などがあります。

その他には大動脈解離や肺塞栓など心停止に至る疾患が含まれています。

 

大分類に戻って

反射性によるものを見ていきましょう。

血管迷走神経反射や咳嗽反射・排尿反射・排便反射などがありますが

簡単に言うと

疼痛や刺激、咳、排尿、排便をすることにより

神経の調節がうまくいかなくなって

血圧のコントロールがうまくできず血圧が低下するという感じです。

患者さんの中には採血などで具合が悪くなってしまう

最悪意識を失ってしまう方などがたまにいらっしゃいます。

血管迷走神経反射ですね。

あとは入院中の患者さんで排尿・排便後に

意識消失を起こして転倒なんてこともありがちです。

 

次に起立性低血圧です。

こちらは座位や臥床している状態から立ち上がるときにおこります。

意識消失まではいかずとも

急に立ち上がってふらっとした経験がある方は少なくないのではないでしょうか。

血液が重力で足のほうに行ってしまい

頭には少なくなるという感じです。

これは臥床期間の長い患者さんにおこりがちですよね。

 

最後にTIA(一過性脳虚血発作)です。

これはもう字のまんまではありますが

簡単に言うと

一時的な脳梗塞です。

攣縮(血管がギュッと縮まる)や

小さい血栓が一過性に詰まって、その後さらに奥の血管に流れるなどが原因です。

TIAは脳梗塞の前駆症状ともいわれており

一か月以内に脳梗塞に移行する可能性がありますので

精査や抗血小板薬・抗凝固薬などの治療開始が必要になります。

一瞬でも麻痺など脳梗塞様の症状を呈した場合には

TIAの可能性も考えて

患者の観察を行いましょう。

 

意識消失は「意識が戻っているから大丈夫だろう」と思いがちかもしれませんが

その奥に

死に至る疾患が潜んでいることもあります。

意識障害同様に原因検索を行い

再発、意識障害への発展を防止しましょう。

 

役立つ指標

意識障害・意識消失を学んできた中で

患者さんの観察に役立つ指標を確認しましょう。

 

まずは国試でも頻出のショックの5徴候(5P)です。

  • 蒼白(Pallor)
  • 虚脱(Prostration)
  • 冷汗(Perspiration)
  • 脈拍蝕知不能(Pulselessness)
  • 呼吸不全(Pulmonary deficiency)

の5つの徴候が見られた時にはショックに至っている可能性があります。

②で少しふれた「パッと見ABC」を確認する際に

ショック徴候の有無を確認しましょう。

一つでも徴候が見られた場合には

緊急度が高いと判断し

患者状態を安定させるための処置を行っていきます。

ショックの5P

頻出です。必ず覚えましょう。

 

次にCPSSです。

これは脳卒中の可能性を観察する指標です。

NIHSSという脳梗塞の重症度を観察する指標があるのですが

11項目をかなり専門的にみる必要があります。

対してCPSSはプレホスピタル(救急隊など、病院に来る前)で行われる

いわばNIHSSの簡易バージョンです。

  • 顔のゆがみ
  • 上肢挙上の可能・不可能
  • 構音障害

の3つを見るものです。

「歯を見せるように笑ってください」「いーとしてください」などの指示で

口角下垂など顔のゆがみを観察。

目を閉じてもらい、10秒間手を挙げてもらい

保持できるかを観察。

会話ができるかを観察。

簡単ですよね。

これらの徴候が見られた時には脳梗塞を起こしている可能性が高いですので

医師への連絡をし

急ぎで頭部CTや頭部MRIをとる必要があります。

 

 

2つご紹介しましたが

両方とも簡単に

患者さんへの侵襲なく行える検査ですので

ぜひ使ってみてくださいね。

 

 

今回まで3回にわたり意識障害についてまとめてきました。

いかがでしたでしょうか。

学生さんにとっては

一部難しい内容だったかもしれません。

 

意識障害は様々な疾患や病態が絡むため

なかなか理解が難しいですが

自分の観察や問診で原因が解き明かされていくのは

ちょっと気持ちいいです(笑)

他の疾患や病態について学んだあとに

再度意識障害に関して振り返ると

理解がより深まると思います。

 

次回からは「ショック」に関してまとめていこうと思っています。

お疲れ様でした!

 

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