意識障害②

国家試験対策

こんにちは yu-riです。

本日は前回の意識障害①の続きです。

前回より臨床寄りの内容になっていますので

新人看護師さん向けです。

もちろん学生の方の実習や

国家試験対策にもなる内容ですので

読んでいっていただけると嬉しいです。

 

 

 

意識障害への対応

私が救急外来に勤めている関係で

対応が救急外来でのものにやや偏ってしまうかもしれません。

できるだけ病棟対応にも合うようにお話ししていきたいと思います。

 

救急外来では「意識障害の患者」という情報のみで患者が運ばれてくることがほとんどです。

病棟で入院している患者さんのように病名が判明していることはほとんどありません。

ただ、病棟勤務でトイレに倒れてる患者さんを発見したとすれば

状況は似てくるかと思いますので

病棟勤務の方はそういった状況を想定していただければと思います。

 

まずは流れを抑えていきましょう。

救急外来に関してはラッキーなことに

救急隊からの「意識障害」という情報があります。

可能であればどの程度の意識障害なのか

他に随伴する症状

現場の環境など聴取することができます。

仮に「意識障害の患者」という情報だけだとしても

できる準備はいろいろあります。

  • モニター
  • 12誘導心電図
  • 血糖測定器
  • 酸素投与関連
  • 点滴ルート

などなど

あとは病院によりシステムは異なりますが

レントゲン・CTなどをすぐ撮影できるように

依頼をかけておくのも大事ですね。

準備しながら

何を観察しようか、どういう順番で処置をしようか考えておくと

落ち着いて患者さんを看ることができます。

 

一方病棟で働いていて

意識障害の患者さんを発見するときって

自分が第1発見者です。

しかも予期しないところで予期していないことが起こっているわけですから

なんか救急より怖いですね・・・。

何はともあれ自分一人だけでの対応は困難ですので

応援を呼びましょう。

ベッドであればナースコール

ベッド外であれば大きな声やピッチでスタッフを集めましょう。

余裕があればABCの確認をして

必要なものを持ってくるように頼むのも大事です。

 

 

患者さんが到着、あるいは応援要請をしたら

患者さんの観察に入りましょう。

何はともあれまずはABCの確認です。

「パッと見ABC」A:気道 B:呼吸 C:循環

10秒ほどでさっと確認する方法ですよね。

気道確保や心臓マッサージなど救命処置の必要性の有無の判断です。

すぐにできて、しかも道具が何もなくてもできます。

急ぎの救命処置がいらないと判断できたら

他のバイタルサインを見ていきましょう。

必要に応じてバイタルサインを正常に保つための処置を行っていきます。

・呼吸が悪いなら気道確保(肩枕、挿管など)、酸素投与

・循環が悪いなら心臓マッサージ、ルート確保(必要なら急速輸液)

などなど。

まずは生命維持のための処置を行っていきますが

これをしているだけでは根本的な解決にはなりません。

なぜ意識障害が起こったのかその原因を探っていく必要があります。

医師の指示で様々な検査を行っていくことになります。

採血・レントゲン・CTなどですね。

血糖測定と12誘導心電図は看護師でもできて

しかも短時間にできるものですので

処置の合間を縫って早めに終わらせましょう。

処置をしながら自分でも全身の観察を行っていきます。

  • ABCは常に観察
  • 血糖値→血糖測定器または血ガスなどで見られる。低血糖の有無を確認。
  • 脈拍→徐脈:頭蓋内圧亢進・甲状腺機能低下・低体温
  •    頻脈:甲状腺機能亢進・覚醒剤
  • 血圧→上昇:脳梗塞・頭蓋内圧亢進
  •    低下:ショック
  • 呼吸→大呼吸:ケトアシドーシス
  •    過換気:覚醒剤
  •    アルコール臭:急性アルコール中毒、アセトン臭:糖尿病性昏睡、アンモニア臭:肝性脳症
  • 麻痺の有無
  • 瞳孔→散大:抗コリン薬
  •    縮瞳:橋出血、有機リン中毒、麻薬中毒
  •    不同:脳血管障害、頭部外傷
  • 皮膚色→チアノーゼ:呼吸不全
  •     鮮紅色:一酸化炭素中毒

などですね。

あとほかの疾患・徴候でも同じではありますが

意識障害では特に問診が重要なカギを握ることがあります。

  • 既往歴→糖尿病:低血糖、ケトアシドーシスなど
  •     肝疾患:肝性脳症
  •     悪性腫瘍:脳転移、高カルシウム血症
  •     精神疾患:水中毒(低ナトリウム血症)、薬物中毒
  • 内服歴→薬の種類、服薬時間、使用量など
  •     抗凝固薬・抗血小板薬の内服の有無
  • アレルギーの有無
  • 発見状況→発見時間、周りの環境(暑い・寒い・ストーブを焚いていたなど)、発症時間
  • 前駆症状→頭痛・悪心・嘔吐:くも膜下出血・脳出血・髄膜炎・高血圧性脳症など
  •      発熱:感染症・脳幹部出血など
  • 発症様式→突然:脳血管発作・心筋梗塞など
  •      徐々に悪化:脳血管障害など
  •      痙攣を伴う:転換・脳血管障害・糖尿病性昏睡・肝性脳症など
  • 頭部外傷の既往→慢性硬膜下血腫

ほかにもあると思いますので

上記のものと合わせて自分なりのチェックリストなど作ってみるといいかもしれません。

各検査・全身観察や問診により

意識障害の原因が特定されると

その原因に対する治療を行っていくことになります。

自分の中で大まかな方向性が分かっているのとわかっていないのでは

準備のタイミングや心の準備に差が出てきます。

意識障害を呈している患者さんでは

一刻を争う状況であることが多いです。

まずは患者さんの命を治療までつなぐこと

速やかに治療を開始できるように準備をすること。

これが重要になります。

 

あともう一つ忘れてはいけないのが

患者さんと患者家族への配慮です。

さっきも言ったように私たちは患者の命を守るために様々な処置・検査を行っていきます。

その中で正直どうしても患者さんへの配慮が欠けてしまいがちです。

意識の有無にかかわらず

羞恥心への配慮や、声掛けをすることは

本来人であれば当然のことです。

忘れてはいけません。

またご家族・付き添いの方への配慮も重要です。

問診を行い、原因を突き止めるためにお話を伺うのもありますが

ご家族は患者さんを目の当たりにして

心配したり動揺していたり

精神的に不安定な状況にあることを忘れてはいけません。

必要な情報は聞き出す

患者さんの状況をお伝えしたり

少しでも安楽に休める状況を作ったり

家族への看護も考えましょう。

ただし、こちらに関しては自分だけでは手が回らないことがざらです。

周りのスタッフに協力をお願いして

患者・家族双方へのケアを怠らないようにしましょう。

 

意識障害の原因検索

先ほど意識障害の原因を突き止めて

それに対する治療が意識障害に対する根本的な治療になるといいました。

では意識障害を呈する疾患にはどのようなものがあるのでしょうか。

いろいろあるのですが

頭文字をとって「AIUEOTIPS(アイウエオチップス)」という覚えやすいものがあります。

Aはわかりやすい。アルコールです。

IもインスリンのIですから、インスリンを使うのは糖尿病、インスリンを使うと血糖値が抑えられる

と考えれば低血糖、糖尿病性昏睡はわかりますね。

Uは泌尿器科のことを「ウロ」っていうのでそれを知っていると尿毒症とつながりやすいですね。

Eはちょっと覚えづらい。肝性脳症や内分泌疾患。一番覚えやすいのはエレクトロ(電子)に関連して電解質異常でしょうか。

Oは簡単。酸素関連です。

Tもそんなに難しくありません。トラウマでうから傷のことです。あとテンプラチャーが気温を現します方低体温・高体温とつながります。

Iは2回目の登場です。英語得意な人なら感染症(Infection)で楽勝ですね

Pこれはあんまりいい言葉ではないのですが、精神疾患を持っている方のことを「P」とあらわすことがあります。

Sこれはショックが分かりやすいですね。

あとはストローク(脳卒中)も覚えておくといいです!

他の指標などで出てくることが多い単語です。

 

表の中で赤字になっているのは

割と簡単に診断ができて

且つ私たちでも検査・所見をとるのが簡単なものです。

その中でも特に低血糖・低酸素血症・ショックはまず鑑別するべきものです。

ショックに関しては近日まとめようと思っていますので

そちらで一緒に勉強しましょう。

 

 

本日は少し難しい内容でしたね。

ただとても重要な部分です。

知識を整理したうえで

自分ならどう対応するかをイメージトレーニングしておきましょう。

 

意識障害に関しては次回も少しだけお話ししたいと思います。

ご興味ある方お付き合いいただけると幸いです。

 

お疲れさまでした!

 

 

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