フィジカルアセスメント③バイタルサイン(血圧・体温)

国家試験対策

こんにちは yu-riです。

本日は前回の続きで

バイタルサインについて触れていきたいと思います。

前回、意識・呼吸・脈拍についてまとめていきました。

今回は血圧・体温についてです。

前回はこちら

 

血圧

まずは血圧から見ていきましょう。

そもそも血圧とはなんでしょうか。

 

血圧とは血管内を通る血液が、血管壁をおす圧力のことを指します。

 

少し忘れがちですが、

血管は筋肉でできているので伸び縮みすることを思い出しておきましょう。

血管における伸び縮みは太くなったり細くなったりというイメージです。

地味に大切なことなので頭の片隅に置いておきましょう。

 

血液は心臓から押し出されたのち

血管をめぐって全身に行き渡っていきます。

当たり前ですが血液は自分で走っていくわけではありません。

スタートダッシュは心臓に押し出され

その後は血管の伸び縮みを利用して小さなポンプ機能を作り出し

全身をめぐっていきます。

 

このポンプを作る力を血圧と表現しているわけです。

 

前置きはこのくらいにして

国家試験・日常業務に関わる部分の確認をしていきましょう。

血圧に関して必修問題で問われるのは

マンシェットの大きさと血圧の正常値に関してです。

 

まずマンシェットの大きさに関してです。

マンシェットとは血圧を測定するために腕に巻く

加圧するための布のことです。

正確な血圧値を得るには

適切な大きさのマンシェットを選ぶ必要があります。

覚えなければいけないのは

一番使用頻度が高いであろう、成人むけのマンシェットの大きさです。

ズバリ14cm。

筆箱の中に入っている15cm定規を腕に当ててみましょう。

それより少し小さいくらいです。

あるいは手を銃の形にしたときの親指から人差し指の長さを測ると

私は大体15cmでした。

国家試験において

①13.5cm ②14cm  ③14.5cm ④15cm

なんて選択肢はあり得ませんので大体15cm定規と覚えておけば問題ありません。

 

次に血圧の正常値を覚えましょう。

絶対に覚えておかなければいけないのは

正常値と異常値の境目

つまり血圧140/90です。

ここだけは絶対覚えましょう。

もう一歩余裕がある人は130/85も覚えておきましょう。

このラインが本当の正常値です。

この二つの合間は正常高血圧といい

治療はまだいらないけど黄色信号ですよーっていう値です。

健康診断では引っかかります。

 

ただ血圧というのはそのときの体調や状況、感情などでも左右されやすい

デリケートな数値です。

なので計測する際にはできる限り同じ環境下で行います。

「毎朝8時、朝食前に」など。

また体質によって個人の正常値の幅も大きいです。

元々収縮期血圧が100mmHg前後の患者さんが

今朝は95mmHgだったからといって

必ずしも低血圧で具合が悪いとは限りません。

血圧はあくまで一つの指標として

他のバイタルサインや患者さんの様子と合わせて観察を行います。

また降圧剤を内服しているかなども

合わせて観察できると治療効果を得られているかをアセスメントできるようになります。

 

血圧を測る上で気をつけなければいけないのが

血圧を測ってはいけない場合があるという点です。

血圧を測る際には必ず左右どちらの腕(または下肢)で測定して大丈夫かを確認しましょう。

測定してはいけない場合とは

  • シャント側
  • 麻痺側
  • 乳がん術後(リンパ郭清)

などです。

そのほか怪我をしているなども確認しましょう。

シャントとは透析を受けている患者さんが血液透析に使用する血管のことです。

血圧測定のため加圧をした際に

このシャントを誤って潰してしまうと

患者さんは透析を受けることができず

再度シャント増設の手術を行わなければいけなくなってしまいます。

 

麻痺側では血流が悪くなっており

健側側より低く血圧が測定されてしまいます。

正確な値を測ることができませんので

これも避けたほうがいいです。

血流が悪いため体温も正確に

測れない場合があります。

体温測定も健側で行う方がいいです。

 

乳がん術後の患者さんにも注意です。

手術の際に癌細胞を取り切るために周囲のリンパ節を一緒に切除することがあります。(リンパ節郭清)

つまりリンパ節が少ない状態になってしまいます。

これによりリンパ液の鬱滞が起こり

手術した側の上肢に浮腫を起こしてしまうことがあります。

血圧測定により加圧を行うと組織液がリンパ管に押し出され

さらにリンパ液の鬱滞を引き起こし

浮腫を悪化させてしまう可能性があります。

 

正確に測ることはもちろんですが

患者さんにとって苦痛なく安全に測定することも大切です。

患者さんに不利益なことが起こらないようにしましょう。

 

体温

バイタルサインの最後は体温についてです。

体温は一番身近なものではないかと思います。

小学生の頃からプールの日は測ったりしてましたよね。

 

体温に関して必修問題で問われるのは測定方法です。

体温測定で使用されるのは

  • 前額部
  • 腋窩(腋の下)
  • 口腔
  • 直腸

です。

測定場所は難しくないと思います。

大事なのは、外部環境の影響との関係です。

私たちの体の中で一番暖かいのは体の内側です。

それは想像しやすいと思います。

しかしまさか体に体温計を刺して温度を測ることはできませんよね。

代替案として体表面からアクセスできる場所で測定をします。

ここで忘れてはいけないのが

外部環境によって温度が変化してしまうという点です。

気温や発汗に伴う気化熱などで中心温度より体温は低く計測されます。

これを考慮して

より正確な体温を測るためには外部環境に左右されにくい部位を選定する必要があります。

 

一番左右されにくいのは直腸です。

体温計を直腸に差し込み測定します。

外部環境に左右されづらいので腋窩+0.8~1℃ほど体温が高く出ます。

 

次に左右されにくいのは口腔内です。

ただし直前に食べたもの(冷たいもの・熱いもの)や

会話によって口を開けていた場合には正確な体温が測れないので注意です。

腋窩+0.2~0.5℃ほど高い体温になります。

 

次に左右されにくいのは、大定番の腋窩です。

ここは発汗などで体温が左右されやすいので

濡れている場合には清拭してから測る方が無難です。

36.0~36.9℃が正常値です。

 

一番外部環境に左右されやすいのは前額部です。

思いっきり空気に触れてるから当たり前と言えば当たり前ですよね。

コロナの影響であちこちに非接触型の体温計が設置されていますが

あれは体表面の温度を測るだけなので

冬場とか34度とか普通に出ますよね。

もろ外部環境の影響を受けてしまいます。

 

ここまで「正確さ」に注目して話してきましたが

日常的に測定を行う上では「手軽さ」も重要になります。

例えば先ほど例に挙げた

街中にある非接触型体温計。

これは「高体温でなければいい」という大雑把な指標になります。

その上で顔を近づければピッと数秒で測定が終わり

短時間に大人数の体温を測定することができます。

一方、直腸温はどうでしょうか。

まさか街中でお尻を出すわけにはいかないし

そこまで正確な体温を測る必要はありません。

病院においても同様で

術中や熱中症などでより正確な体温が必要であれば話は別ですが

毎朝患者さん全員に「はい、お尻出してください〜」っていうのは

合理的ではありません。

 

「正確さ」と「手軽さ」を考えた上で

患者さんに合った方法で計測を行いましょう。

 

前回、今回と2回にわたってバイタルサインについてお話ししてきました。

とりあえず必修問題むけに簡単に触れてきましたが

バイタルサイン(生命の徴候)というだけあって

突き詰めると色々な疾患症状に関連する奥深い部分です。

 

まずは安全に、正確に測れるようになりましょう。

それができるようになったら

その意味を考えられるように練習していきましょう。

 

今日はここまで

お疲れ様でした!

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