こんにちは yu-riです。
本日は心原性ショックについてまとめていきたいと思います。
循環の3要素
パッと頭に浮かびますか?
浮かばなかった人は①を見直して復習しておきましょう。
心原性ショック(原因・症状・治療)
まずは心原性ショックから見ていきましょう。
原因
心原性という字の通り
心臓の疾患によりポンプ機能が破綻したのが原因となるものです。
ポンプ機能とは
心臓が血液を全身に送り出す機能のことです。
心筋梗塞、重症不整脈、心筋炎・心筋症・弁膜症など
心臓自身に障害が起きることにより
ポンプ機能不全となります。
大半は心筋梗塞によるものです。
心臓も臓器ですから
血管から酸素や栄養素をもらって動いています。
その酸素や栄養素を運ぶ血管が詰まって(梗塞)
酸素がいかなくなったら心臓を動かす筋肉が障害され
程度によってはポンプ機能が破綻することになります。
ポンプ機能が故障してしまうと
ちゃんと血液量があったとしても流れを作り出すことができません。
血液は各器官を流れることによって酸素や栄養素を運搬しているわけですから
流れることができなければショックへと移行していきます。
症状
血液が心臓に戻ってきても
十分に全身に送り出せないというところがポイントです。
ポンプで送り出す力が弱いので
血圧は当然低くなります。
血圧が低いと末梢までいきわたらないので
末梢冷感や尿量減少が起こります。
さらになんとか血流を保とうと
心臓が自分に鞭を打って回数で何とかしようと頻脈になります。
ここまでは循環血液量減少性ショックと似ていますが
心原性ショックにおいては血液量が通常通りの量ですので
その点について考えなければいけません。
送り出す量は少ないのに
戻ってくる量はいつも通り・・・
血液の渋滞が起きてしまいます。
心不全の状態ですね。
左心室が障害されている場合
肺から送られてくる血液が渋滞を起こすため肺うっ血。
それに伴う呼吸困難・喘鳴など。
右心室が障害されている場合
全身から戻ってくる血液が渋滞を起こすため浮腫。
これらの症状が合わせて出てくることがあります。
そのほか原因疾患の症状も合わせて出てくることがあります。
心筋梗塞であれば胸痛
重症不整脈であれば心電図異常など。
特に完全房室ブロックなど徐脈をきたす不整脈では頻脈にならず
むしろ徐脈になることが特徴の一つです。
覚えておきましょう
治療
原因となっている疾患を治療してあげるのが
根本的な解決ではありますが
心臓カテーテルや手術が必要になる場合も多く
ショック状態にまで陥ってしまった場合には
侵襲が大きすぎて困難です。
そこでひとまずショック状態から脱するための治療を行っていき
バイタルが安定したところで
根本的な治療を行うという流れになります。
ポンプ機能が落ちているのが原因ですから
薬や機械でポンプ機能を補助してあげます。
心臓のポンプ機能を高める強心薬の利用は
そのまんまですから簡単ですね。
利尿剤は体内から水分を排出してくれるので
一時的に循環血液量が減少します。
つまり心臓に戻ってくる血流量も減少します。
渋滞が緩和されて
心臓への負荷が軽減されるという仕組みです。
心不全症状の緩和にもなりますね。
もう一つ血管拡張薬です。
なんかちょっと違和感ですよね。
血圧低くなってるのに血管広げちゃったら余計低くなってしまうのでは?
そう考えられた人素晴らしいですね。
そこからもう一歩進んでみましょう。
血管が収縮し末梢まで血流がいかない状態が続くとどうなるでしょう。
臓器不全に陥ってしまいますね。
そこで薬を使って血管を広げ
各臓器に血流をいきわたらせてあげれば
臓器不全になることを防ぐことができます。
そもそも心原性ショックにおいては循環血液量が少ないわけではなく
ちゃんと全身にいきわたる分の血液量はあるんです。
さらに渋滞していた血液たちが全身に散らばることになりますから
これも心臓への負荷を軽減することにつながります。
「利尿剤・血管拡張薬を使う」とただ暗記するのではなく
なんでそれを使うのか
それを使うとどんなことが起こるのかを理解しましょう。
薬剤で状態が安定すればいいのですが
それでも改善に乏しい場合には
機械でポンプの役割を担ってあげるという方法をとります。
名前はそのまんまで循環補助装置です。
具体的には大動脈内バルーンパンピングや経皮的心肺補助装置があります。
またそのうち詳しくやりますので
「そういうのがあるんだ」くらいでOKです。
心外閉塞・拘束性ショック(原因・症状・治療)
次に心外閉塞・拘束性ショックについて学びましょう。
こちらは先ほどの心原性ショックと同様に
循環の3要素のうちポンプ機能が障害されて起こるものです。
ポンプの障害のされ方がちがうので
まずはそこを抑えていきましょう。
原因
「心外」閉塞・拘束性ショックという名前の通り
心臓自体は元気なのに対し
周りからの圧力でポンプがうまく作動しないという状態を指します。
周りからの圧力を具体的に言うと
心タンポナーデ、緊張性気胸。肺塞栓などです。
心タンポナーデとは
心臓を包む心膜と
心筋との間に血液などの液体が貯留する疾患です。
この液体が大量になると心室が拡張するスペースがなくなり
拡張障害を生じます。
心臓は拡張と収縮によりポンプの役割を果たしていますから
拡張できなければポンプ機能が失われたことと同じことになります。
緊張性気胸も心臓を圧迫するというイメージは同じです。
気胸とは肺を覆っている胸膜が破けて
胸腔内に空気が貯留する疾患です。
これが重症化すると気胸になっていない側の肺や心臓を圧迫して
空気がたまり続けることになります。
これが緊張性気胸です。
心臓が押しつぶされるような形になり
やはり拡張障害が生じてショックへとつながっていきます。
もう一つ肺血栓も病態を見ておきましょう。
肺塞栓症・肺梗塞などとも呼ばれます。
静脈中にできた血栓(血の塊)や空気などが
右心房・右心室を通って肺動脈に達し
肺動脈を閉塞させてしまうという疾患です。
その先の肺に血液がいかないことになるので
肺の壊死や換気障害を生じます。
ここまで聞くと心臓が圧迫されるような印象は受けませんよね。
ポイントは右心室です。
肺動脈は右心室を経由しますが、
肺動脈が閉塞すると右心室で血液の渋滞が起こることになります。
しかし右心室にはどんどん全身からの血流が流れ込んできてしまいます。
そうすると
右心室が大きく膨らむようなイメージで
お隣さんである左心室を圧迫し始めます。
圧迫されることによって
やはり拡張障害が起こりショックに至るというわけです。
症状
次に心外閉塞・拘束性ショックの症状を見ていこうと思いますが
機序はともかく
ポンプ機能が障害されているという点では
先ほどの心原性ショックと同様です。
つまり基本的な症状は同じになります。
それにプラスして
原因疾患である肺塞栓や緊張性気胸の症状があるとわかればOKです。
治療
治療は心原性ショックとは異なります。
最初にも行ったように心臓自体は元気です。
圧迫されることによってポンプ機能がうまく働かなくなっているので
圧力を解除してあげます。
つまり原因疾患の治療が
心外閉塞・拘束性ショックへの治療となります。
心タンポナーデなら心膜穿刺やドレナージ(たまった血液や体液を抜いてあげる)
緊張性気胸もドレナージ(たまった空気を抜いてあげる)
肺塞栓では血栓の溶解などの治療を行います。
本日は循環の3要素のうち
ポンプ機能に関するショックを2つ深めてみました。
心原性ショックと心外閉塞・拘束性ショック
似ている部分もありますが
病態に関してしっかり区別をつけておかなければ
治療法に困ってしまうことになります。
復習しておきましょう。
お疲れさまでした!
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